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2005年4月


4月30日


GWに入ると、釣具店はいそがしい。
特にこちらではファミリーが本格的に始動しだすので店側としてもかきいれ時だからだ。

連日移動品が寄せられ釣具店で働いているというより荷物運びに雇われてるような状態になる。ただでさえ安い自給で毎日がんばってるのにたまったものではない。


そんなこんなで疲れ果てていても、自分の釣りとなれば話は別だ。

今日は朝10時から夜11時まで働き、終電にのって一人大阪北港へ向かった。


今日はアンリパのカウントダウン9センチを2色用意してきた。
ちょうど使いやすそうで、しかも特価だったからだ。

まずは前に主任がシーバスを上げたところへ。

さっそくクリア×チャートをセットし、1投目。
ルアーがリーダーと絡まり、水面をバシャバシャ。ちょっとはずかしい光景。
と思っていたところへ暗がりから50ほどのシーバスがアタック!かかりはしなかったが、今日は調子がよさそうだ。
2,3,4,5…投。
カラーをクリア×レッドヘッドへ交換。
そのなのとおりカウントダウンで中層から引き始める。
う〜ん反応が無い。
次。


………ガバッッッ!!!!!


一気にロッドがのされる。
あまりに衝撃的な出来事で、私はその時無呼吸状態だったかもしれない。

ピックアップ寸前、もう竿先から50センチもないような距離でおそろしいような巨体が足元の暗がりから巨大な口を開けてルアーを吸い込んだのだ!!

ラインは8ポンド。リーダーは30ポンド。
ドラグは割とゆるく設定してあるため、ジリリリリリリリ〜〜ッと一気にラインが出て行く。
スプールを押さえてもとめることはできない。止めてしまえば一瞬で儚い思い出に変わるだろう。

右へ左へ強烈なスピードでヤツは移動する。
そして、
強烈なエラ洗い!

私のロッドはティムコのジャンピングジャック。訳すと、「エラ洗い」
その名のとおりヤツのジャンピングジャックをかわす事が出来るだろうか。

もうラインが50メートルは出た。
ヤツはもう川の中ほどまで到達しているが、全く衰えを見せない。
どれだけロッドを生かし、力を溜めてもすぐに耐え切れないほどの力でラインを出す。


しかし、ヤツは50メートルの位置より向こうへは行こうとしなくなった。
それは衰え始めたのではなく、なにか故意であるようだった。
潜っては右に、浮上しては左に。
とても奇妙な動きを繰り返し始めたのだ。

その時、私の脳裏に先日かもめ大橋で出会ったおじいさんルアーマンがかけた80オーバーシーバスの動きがよみがえった。
あのシーバスは最後、足元の岸壁を潜り左右に移動してラインを擦れさせ、ブレイクを勝ち取ったのだ。

もしや、あの海底にはなにか障害物があるのか?
私はそのシーバスの「意思」のようなものに、ある意味の恐怖を覚え、私は強引にやりとりを開始した。このまま何もしないままラインブレイクしたのではあまりにも完敗だと思ったからだ。

既にファイト時間は30分近く。
さすがに体力を消耗してきたのか、ほんの少しずつヤツは寄ってきた。
このまま順調に行けば、玉網でなんとかなる。
と、ネットに目をやったその時―。




切れたラインの先端から2メートルにかけて、ズタズタに擦れたあとが残っていた。
























4月29日


また近くで大事件が起きた。

JR福知山線での脱線事故だ。


その事件が起きたころ、私は普段どおり学校に行っていたのだが、帰ってきて扉に挟まっていた夕刊でその出来事を知った。

連日の事件続きで感覚が麻痺していたのか、当初大きな衝撃は受けず「またなにかあったのか」くらいの気持ちだったのだが、日が経つにつれてそれどころではなくなった。
なぜなら、事件のあった神戸には学校やその他もろもろたくさんの知り合いがいたからだ。

どんどん増える死者。
なかなか連絡の取れない友人。
いまだかつてこのような災害でここまで深刻に思いつめたことがあっただろうか。
これまで様々な事件があったのに、どれだけ他人事ですませていたのかがよくわかる。


幸いにも、私の知り合いは誰一人被害を受けてはいなかった。
しかし、他人事ではなくなった今、被害者の事を考えると胸が詰まる。


当のJRは当初から責任転嫁ともとれる発言を繰り返していた。

自動車と衝突したとか、置石があったとか。
たしかに有史以来最悪となった事件であるだけにJRがうろたえ自分達のミスだと認めたくないその気持ちもわからなくもない。
だがその姿や発言を見るたびに、事故などの意識ももたず、確実に安全だと思い続けてきた電車も、やはり同じ人間が動かしていたものだったのだと、気付かされる。

今の報道を見る限り、「責任」は間違いなくJRにあろう。


「申し訳ありません」
を繰り返すJR。確かに今はそれしか言えないだろう。
100余命の命を奪って申し訳できるわけはない。

しかし、申し訳の代わりにすぐ実行しなければいけないことがある。
安全対策の早急な手配だ。
この数日、この事件を見て頭のおかしい連中が自分もこんな事件を起こそうと思ったのか置石などのいたずらが多発しているからだ。
これまでにない危険な状態だ。


かけがえのない命を奪われた遺族の怒りは消える事はないだろう。
JRはその怒りを永遠に背負わなければならない。
犠牲者が多いからではなく、「命」を奪ったからだ。
「命」を奪ったものは償いきれない。
永遠に最大の努力をするしか道は残されていないのだ。


被害を受ける事のなかった一人の電車利用者として、私はJRに対してそこまでしか言えない。
なぜなら、確実安全な公共交通だと誤解し、甘い考えで利用していた自分を反省するからだ。「命」をあずかる側にも心構えが必要であるなら「命」をあずける側も心構えが必要だろう。
私はこの事件、電車の危険性と「命」をあずけていることを忘れていた利用者にも考えなおす余地があると思う。
電車は自動車などと同じく人間が運転しており、ミスもすれば事故も起こすのだという事を認識してほしい。


それと、一つ思うことがある。

みなさんは身内を失って打ちひしがれている遺族の姿を見たいですか?
もし自分がその立場になったらどう思いますか?

私はマスコミが許せない。JRを悪者にし、報道の自由をかざして失意の被害者をネタにする。そこまで視聴者は求めていないだろう?遺族が本気でJR職員に怒っている姿を全国のテレビに毎日流し、「怒り爆発」とか見出しつける。
あなた達にJRを非難する権利があるのか?被害者に同情する権利があるのか?
何だかんだ言ってあなたたちもJRのお世話になっているんだろう?
被害者をネタにしてお金もらってるんだろう?


真実を報道する事は大切なことだが、マスコミも何かを忘れてはいないだろうか。














4月28日


疲れきって家にたどり着いたわたしの腹は限界だった。


私は使い物にならない脳みそをフル稼働させレシピを考えた。
そうだ、あれを使おう。

台所の戸棚の上に、去年の秋のセールで買いだめしておいたブイヤベースの素がある。あれをひさしぶりのパスタに使う事を思いついたのだ。


さぁ〜て。
いつもならにんにくを多めに使う私のパスタだが、魚介類の濃厚な旨味を打ち消してしまうような気がして、あまり使わない事にした。
にんにくを少量刻みオリーブオイルに投入。
それから加熱。
少量とは言えど、しっかりにんにくの味を引き出し、かつ臭いを抑えるには低温からスタートしましょう。
それが完了したら程よく水で延ばしたブイヤベースのスープを入れる。
同時にパスタを茹で、少し茹で時間を残したくらいで、煮込んでいるスープに投入する。するとパスタが旨味のスープを吸って茹で上がり非常においしいパスタになる。

おっと、ここでひらめいた。
非常食にとってあるしじみスープ(粉末)をオリジナルな魚介の風味として加えよう。
スープに粉末を少量入れ味を確認。
うん、うまい。

最後に、必要はないんだが毎回恒例のイタリアンパセリを彩りに。

よーし、完成だ。ひじょーに簡単でしょ。

           
           オリジナルブイヤベースパスタ・しじみの香り。


味は、最高。
めっちゃうまいです。これに魚介類の具を入れることが出来たらさぞかし立派なパスタになるんでしょうなぁ。
カニのつめとか白身魚の身がどーんとのっかってたらどれだけ豪華に変身するだろう。

こんどシーバスつったらこれに入れようかな。



題して、「オリジナルブイヤベースパスタ・大阪湾の香り」。












4月26日


昨日の閉店後、私は主任と釣りについて熱く語っていた。

さすが主任は釣りという釣りをしつくしているだけあって、その話は興味がつきない。
シーバスチヌ太刀魚青物イカシイラアカメヒラメ鮎ちょろっと話しただけでこれくらいの魚種が出てきた。

釣りいきたいですわー。と何気なく出た一言に主任は、

「俺明日シーバスいくよ」

すかさず

「つれてってくださいよ!」


というわけで今日の仕事終了後、このまえ行ったUSJ近くの天保山に釣りにいけることになったわけだ。


おにぎりをおごってもらい釣り場に直行。
もちろん車内は釣りトーク。
釣り場に着くまでの30分、絶え間なくそれは続いた。

そして到着した場所は、この前私が昼に来て釣りを断念したところと程近かった。歩いて3分くらいのところだろうか。
ライトアップされたUSJがきれいだ。こんなロケーションでシーバスフィッシングだなんて、なんだか釣りしに来た気にはならないなぁ。

           
            USJがきれいでしょう。女の子と来たいね。


この場所は桟橋があり、その周りから停泊する船、そして常夜灯まわりがポイントとなる。安治川の河口でもあるので川の流れを狙うこともできる。

私はさっそくアイマのBー太を船の横にキャストした。
するとさっそくチェイスしてきた。けっこう活性は高いようだ。
続けて数投。

瞬間、暗がりの中から50センチほどの魚が飛び出した!ヒットだ!私はすかさずあわせをいれた。
シーバス特有の激しい暴れ方を確認したと思ったその時…
魚はバレた。

…残念。

もう一度、今度は岸壁にキャスト。デッドスローで丁寧に引いているとまたまた飛び出した!今度は一回り大きい!
思い切りあわせを入れた瞬間。

フッとラインが切れた。
「ぇえ!??」と思わず声にでた。
組み上げたばかりのリーダーシステムがこんなに簡単に切れるわけはない。
しかもリーダーは30lb。障害物にすれたわけでもない。

どうも、当たり所がわるくエラにリーダーが触れると30lbでもフッと切れるそうだ。

…残念。

ヒットルアーB−太を失う。


今度は先端の常夜灯周りを攻めた。
いくつかのルアーをチェンジしながら投げ続けていると、主任が、

「チェイスしてきよるぞ…」
次の瞬間。

「おしッ!!」

主任の竿が大きく曲がった。
そしてドラグが泣く。


順調に寄せ、ランディング。
なかなかにコンディションのいいシーバスだ。大阪では痩せたものが多いらしく主任もびっくりしていた。
サイズは55〜60くらい。ローリングベイトをがっぷりくわえていた。

        
                いいシーバスではないですか。  

ちくしょう。
さっきの2発目はもっとでかかったぞ!…と負け犬の弁。


この後、場を休ませもう一度同じ場所同じルアーで主任が一回りおおきな60を1本。そして3匹目もかけたのだが、これが一番大きかったのか、ラインブレイク。すごい引きのようでした。


船の発着場へ移動し、シャローで私がばらし1本。



私は、その名のとおり、「沈黙」を守ったまま朝を迎えたのであった。



通勤の車に紛れ、定食屋のめしや丼でごはんおかわり自由の定食をおごってもらいながら、釣り具店の裏話で盛り上がった。
そして次の釣行でつれなかったらバックに「全日本丸ボゲ連盟」のバッジをつけねばならなくなった。ようするに釣れない大将に認められてしまう。



なんとしても、それだけは避けたい。











4月25日


今日の客足はいつもより格段に多かった。
給料日だからか。

私は接客しまくって15万くらい売り上げた。バスロッドのTDバトラーをリミテッドと一緒に買ってくれた人もいた。その人だけで10万だ。


お客さんがメバルの話をしていた。
話を聞いていると、日本海は数はつれるがサイズは小さいという。やはり型をつるなら瀬戸内のほうがいいという。

私は以前から全く逆だと認識している。
瀬戸内でつれるのは大抵が群れて生活している金色のメバルだ。最近細かい区分けができたようだが、富山東部で釣れるあの黒味がかったメバルとは違う。
私が知っている限り、富山でのメバルの最大級は40センチで、瀬戸内の最大級はせいぜい30センチと少しくらいだ。


その事を店員と話していたら、やはりその店員も瀬戸内の方が型がいいと思っていた。
このあたりでは基本的にメバルは25センチで大物らしい。
やはり日本海の根で釣れる大きなメバルは認知度が低いのか。


こちらでの釣りを聞いていると、やけに富山の釣りを自慢したくなる。
まずおいしいお魚を食べさせてあげたい。

釣って、食べれるんだよ。っていうだけで、「すげー!」って言われるような土地です。
黒鯛はおいしいです。というと「ありえない」と嫌な顔されるような土地です。


やっぱり富山は恵まれてるね。
感謝しましょう。











4月23日


昼11時。釣具のぶんぶんへ向かった。

店員とルアーセレクトを相談。
メシを抜きルアーを買おうとする私を見かねたのかメシ代1000円をくれた。ありがとうございます…。

特価のマリアのルアーとワンダー、シーブリーズなど数点を購入し、店をでた。


さあ、ここからがスタートだ。
ちかくの地下鉄から大阪港駅をめざす。

10駅ほどのところだが310円しかかからない。富山の電車賃を考えれば安いものだ。

大阪港駅で下車し、海を目指した。
ここは海遊館とUSJのすぐ近くという事もあり、観光客やカップルが多い。
釣り竿担いで一人彷徨う私はものめずらしげに見られた。

USJを望む対岸の天保山公園にでた。
話ではこのあたりの停泊船の影にシーバスは着いてるらしい。
釣り場を探すが…なにせ日中なもので港も公園も人が山ほどいる。

私は3キロほど歩いて初めて気付いた。

「今、ここは釣り場ではない。」

ものめずらしく「こんなとこに魚いてんの?」「こんなとこで釣りしはるの?」と散々聞かれ、さすがに竿を振る勇気はなかった。


           
           対岸に見えるはユニバーサルスタジオジャパン。

また大阪港駅に戻り、そこで南港へ行く決心をする。
ニュートラムに乗り換え南港フェリーターミナルを目指した。

ニュートラムは他社経営線で少々値が張る。
南港に行くなら地下鉄で住之江競艇のある住之江公園まで行ったのだが…急なことでしかたがない。

フェリーターミナルに着き、すぐ近くの南港大橋を目指す。
ここはシーバスの名ポイントだ。シーズンには数も型もでるらしい。

歩いて5分くらいのところ、すぐのところにポイントはあった。
ここは北港とは違い、先客が既にいる。
エサもルアーもしているようだ。

帰っていくルアーマンに聞くと、「今日はあかんわ〜」のひとことが帰ってきた。ぶら下げたレットヘッドのミノーが寂しそうだった。


ルアーをセットしていると、なにやらエサで浮き釣りしてた若者が騒がしくしていた。
様子を見ていると、つれていたのは50くらいのハネ(こちらではフッコクラスをこう呼ぶ)だ。なんだかテンションがあがる。

まずはワンダーを橋下の岸壁へキャスト。
少し沈め気味でアクションさせるが、特に反応はない。

今度はラパラのテールダンサーを遠めにキャスト。
するとガンッと何かがアタッている。だが、乗りはしない。
そして足元まで巻いてきたところでシーバスがチェイスしてきていたことがわかった。大きさこそ50程度だが、あきらかにシーバスだ。

引き潮で港奥からの流れが強くなり、その流れに乗せてデッドスローでリトリーブ。
するとやはりアタリはある。が、のらない。
隣にいたルアーマンが言うには、ここのシーバスはスレて夜にならないとなかなか針にはかからないそうだ。


それから4時間。橋下から周辺一帯を攻めたが、チェイスするシーバスを針にかけることはできなかった。


さぁどうしたものか。
陽も落ち始め、これからが本番というこの時間帯に私は途方に暮れていた。
さすがに同じポイントで何時間も粘って釣果が出ないとへこむものだ。
さらにここで粘ることを断念し、ポイントの移動を決断。


一体どれだけ歩いたのだろうか。南港先端、釣り公園を目指し、私は南港内を延々と歩き続けていた。貧弱になった足は悲鳴をあげ、足には靴ずれができている。
前を見ても後ろを見ても、そこには工場が立ち並ぶのみ。無計画な自分を呪いつつ、このエキサイティングな現実を楽しんでいる自分もいた。

さぁ、大きな橋が見えてきた。これはかもめ大橋だ。


                
                 かもめ大橋のぼってます。

ここの橋下はシーバス、太刀魚のポイントとして紹介されていた。
釣り公園はあと1キロほど先なのだが、時間が時間なのでここで竿を振ることにした。
下に下りるとそこにはファミリーやルアーマンなどさまざまな人がたくさん。
バーベキューしてる人もいて、腹はクレイジーな音色を奏でた。

この場所は南港から大阪湾に開けるとても潮通しのいい場所だ。
だから季節になると太刀魚もよくつれるし、ハマチもよく回遊するらしい。もちろんシーバスも居つきのものから回遊系のものまで釣れるそうだ。

まずは外に開ける岸壁でテクトロを試みる。ベイエリアではまずこれを試そう。岸壁の下でシーバスは待ってるに違いない。
が、一通り歩いたが反応なし。

次に沖の潮目へキャスト。
これもデッドスローで巻いていると、大きなアタリがきた。しかもそうとうな衝撃だ。
ゴツン、ゴツンと間違いなくシーバスだろう。だがやはり針がかりしない。

見切りをつけ、橋下へ移動。
そこには60歳くらいのおじいさんルアーマンがいた。
話しかけ、今日はどうにも調子が悪―といいかけたそばだった。

「バシャッ!!」

おじいさんのルアーが大きな水しぶきにのまれた!シーバスだ!
ライトの灯と橋の暗がりの間を割ってフローティングミノーめがけ飛び出したシーバスはおじいさんのロッドを大きく曲げた。これはかなり大きいんじゃないか?
その瞬時の出来事にも、強烈なエラ洗いにも動じず、おじいさんは絶妙な竿さばきでいとも簡単に魚を寄せてきた。
そしてその魚の姿がうっすらとライトに照らされだしたところで私は確信した。
まちがいなく80オーバーだ。

おじいさんはネットを用意した。
もう目の前にその巨体は浮いてきている。
だが、そのとき!

最後の力でシーバスは走った。
そして、まるでラインを切る術を知っているが如く、岸壁へ潜り、ラインを擦れさせる。
さすがのおじいさんも渋い顔になる。これはやばい。

次の瞬間、ロッドははじかれた。そう、ラインブレイクだ。
おもわず、私はため息をついてしまったが、おじいさんは笑っていた。

おじいさんの話を聞いていると、ここはこれくらいのサイズならけっこうでるらしい。
去年は対岸の工事のライト周辺で80オーバーがようつれたらしい。
このおじいさんかなりのルアーマンだ。

まだ、橋下周りにまわってくる大きいのがいるから粘ったらいいよと言われ私はその場所で粘った。

そして粘る事4時間。
ノーバイト。

夜も10時をまわったのでここにも見切りをつけた。
そして私が向かった先は…また南港大橋。


           
           かもめ大橋から夜景。いかにも都市ベイエリア。

ついた頃にはもう11時近かった。
ライトがたくさん立ち並び、とてもいい雰囲気だ。
このライトに誘われベイトフィッシュが集まるのだそうだが、やはりまだ季節が早いのかベイトの影がない。
ルアーマンたちも口をそろえて「今日はアカン」。


「今日はアカンかった」
私はロッドを片付け、ニュートラムへ向かった。
さあ我が家へ帰ろう。


「ん?高井田まで?あ〜無理やね〜乗り換えの電車もうないわ」

はい、こんにちは。
私はルアー狂のひろゆきです。
今日は20時間耐久フィッシングにきました。
今13時間経過してまーす!朝までがんばりまーす!

ということで、最終電車を乗り過ごしました。
我が家へ帰ることができず、南港エリアで夜を過ごすことになりました。

とりあえず住之江公園まででて、考えてみたものの、やはり帰る術はなし。
ポケットにはぶんぶんでもらった1000円があるのみ。さぁどうしましょう。

とりあえず、メシを食おう。
そこで考えよう。と、松屋に入った。390円の大好きなチキンカレー大盛りを頼み、ちびちびと時間を使いながら考えた。


そして、暖かい松屋から足を踏み出した私は、そこで1番はじめにすれ違った人に
「海にはどうやったら出れますか?」
と聞いていた。
そう、私には釣りをすることしか道は残されていないのである。


私は歩いた。ただひたすら歩いた。
もはやつらいとも帰りたいとも思わない。ただ、早く釣り場に着きたい。
それだけを願った。


行き着いたところに、大和川があった。
そう、超有名なランカースポット大和川だ。一発大物のポイントとしていろいろなところで紹介されている。
そしてそこには24時間やってる釣具店があった。
私はその店に入って、ポイントを聞き、また歩き始めた。

ポイントは阪神高速橋脚周り。90オーバーもでているポイントだ。
遠くに見える阪神高速を目指し、深夜の誰もいない静かな道を黙々と歩いた。


歩く事数十分。ようやくポイントに到着した。
そこには既にルアー狂数人が竿を振っていた。そりゃあこんな名ポイントとなると人も集まるだろう。

私は橋脚から少し河口側にルアーを投げた。
しかし、この河川は浅く、藻が多いのでとてもルアーロストが怖い。数個のルアーしか持ち合わせていない私にはロストは非常におそろしい。

竿を振ってから2時間が経過。
魚の反応は無い。そしてルアーマンたちも消えた。

深夜3時。大都会大阪の生命線阪神高速。その下で一人孤独に竿を振る。そんな事を経験するなんて、私は釣りを始めたころには思いもしなかった。なんだかこんな冒険するのが好きなタイプじゃなかったんだが。
なんだろうか、私は孤独が好きなんだ。
人と接するのが嫌いなワケではないけれど、毎日を過ごすのはどこか疲れる。
そんな時、やっぱり一番安らぐのは自分自身を見つめきれた時くらいなもの。
なにも考えず、ただひたすら虚無なものを見つめる―私はそれが大好きなのだ。

           
                 大和川阪神高速下。 


釣りは、すべてを満たしてくれる。
虚無、緊張、興奮…だから私はこうして深夜3時に大都会大阪の生命線阪神高速下の大和川で一人孤独に竿を振っているんだろう。


静かな水面が一瞬にして一変した。
沈黙を破ったのはシーバスのボイルだ。

「バコッ!」っとところどころで音が聞こえ、波紋が足元まで伝わってくる。

「緊張」の到来だ。

私はすかさずボイルの起きた近くにマリアのエンゼルキッスレッドヘッド9センチを投げ入れた。
まるで死にかけの魚のように。そう、「デッド」スローだ。

「バコッ!!」
私のルアーが宙を舞った。

それは本当に一瞬だった。
数メートル先でルアーに飛び掛った目測70のシーバスは、真下からルアーを突き上げ針がかりすることなく海へ消えた。 


ボイルは一晩中続いた。
だが、唯一のシャローを狙えるルアーを見切られた私にシーバスがかかることはなかった。

時はただ静かに流れる。
だれの言う事も聞かず、それでいてだれにもものを言わず。

無情な日常の夜明けを、私はこの場所で迎えた。


           













4月21日


今日はバイトやすみなので大学から帰ってからルアーを作っていた。

3つくらい削りだしてあったので、次はコーティング作業だ。ウレタン塗装っと。


だが、ここで一つ買い忘れていたことに気付く。
そうだセルロースセメントがない。

バイト先に釣りの専門学校のルアー製作科のやつがいて、そいつからウレタンのみで終わらせるよりもセルロースセメントを下地にしてからウレタン塗装したほうがきれいに仕上がると聞いていたのだ。

ほんとうなら昨日バイト先で買ってくるはずだったのに…あまりにも疲れていて忘れていた…


しかし木材で削るのにはもう限界を感じてきた。楽しいのだが、小刀を押す左親指が腫上がってしまったのだ。水ぶくれになり、痛い。

近いうちに樹脂を使って大量生産をこころみよう。

エポキシ樹脂は高いのでポリエステル樹脂でなんとかでないものだろうか…
しかしポリエステルの特性をよく知らないので、ルアーにして大丈夫なのかどうかわからない。勉強しよう。




これからたくさん作る予定…なのでハンドメイドコーナーを設けよう。
日記に終わらせるのはもったいない。




       
      ルアー製作場。赤いのは手作りじゃないよ。マリアのルアーね。











4月20日


人手が足りなかったので2階に入った。
3階ルアーコーナーの方が私は好きなんだがそんなことは言ってられない…。

やはりこちらのほうが初心者の方が多いのかいっぱい声をかけられた。はじめてマンツーマンで商品の相談の対応したがやっぱりこういうのは難しいものだ。

自分が客の立場であれこれ聞いてる時の光景がよみがえる。
なんて面倒なことをさせていたんだろうかと、これまで私に接客してくれた釣具店の人に頭を下げたくなった。


ようやく店員がそろってルアーコーナーに戻るまでに2万円くらい売り上げた。
なんだかちょっぴり会社に貢献した気分。


さぁ今日の仕事も終わりかな、と思っていたころに主任が来た。
不敵な笑みを浮かべている。

「トラック1台分の移動品…」

それは他店から寄せられた移動品の山。
でっかいトラックに満載のダンボールの山。
中には巨大な鉛のオモリの山。
私はウエイトトレーニングをしにきたわけじゃありません。

これをアルバイト3人で2階にまで運べというのだ。
もう時間は閉店時間だぞ。


主任も手伝ってくれた上に他2人のべてらんアルバイトがすごい手際よくて一応11時には終わった。一言しんどかった。
なにか手当てでもくださいよ主任。



ゆっく〜りと大阪の夜空を見上げながらチャリをこぎ、雑然とした自分の部屋に戻ってきた。



バイト前に一口かじったキャベツメンチカツパンを1日のご飯とし、こころにうつりゆくよしなしごとをこうして書き綴って、私は一日を終えたわけである。








4月19日


今日は疲れた。
朝から競技論の授業でバスケをし、たらたらと長い英語を聞き、たちっぱなしのバイト先。本当に疲れました。
ま、おそらくこれがこれから毎日続くわけです。ときどき愚痴ります。


この季節、店に大量のエギがおいてある事を不思議に思ったので聞いてみました。

すると2キロ3キロの巨大アオリイカがつれるから今が売り時ということでした。
富山では春にアオリイカを狙うことはなかったので、びっくりした顔をしていたら、春にアオリイカを狙わないところがあるのかと逆にびっくりされました。

これは私がしらないだけ?もしかして富山ではみなさんちゃっかり春の巨大イカをゲットしてるの?

私なりの解釈としては、富山湾は急に深くなっており産卵場所が岸からは狙いにくい場所にあるんだと思っていたわけです。だから狙う人が少ないんだと。

もし、いま富山で巨大アオリイカ狙ってる人がいたら教えてください。
非常に気になります。


週末に大阪南港にでも行ってルアー投げてきます。
汚染シーバス狙ってきます。
つれたら根性で食べてみます。


最近1日1食なのでほどよい栄養源にはなると思います…








4月18日


いやーやっぱりオープンセールとなると大変。

当日は私、ポイントカードの案内係で説明するだけだったんだけども、みなさんレジなんか長蛇の列で、もうとっても大変そうでした。

しかしまあ、何万とする釣具がとぶように売れること。
みなさん釣り好きですねえ。


私はルアーコーナーに配置されてまして、ここ数日を過ごしましたが、ここのルアーマンはバスばっかりで私の手には負えません。
全く答えれませんでした。

ソルト用品が片隅に追いやられた状態で私は仕方なくその片隅のほうで商品整理しておりました…。


やはり釣具店だけあってみんな釣りをされるようです。これからなんとか連れて行ってもらえそう。
楽しみだなあ〜!


あ、そういえばちょこっとルアーを作り始めました。
それなりの道具をそろえると、ルアー買うより高つくので、ホームセンターで手に入る安ものの材料で。
今はまだ製作途中なのである程度出来上がったらまた詳しくのせます。









4月13日


さっそく働きにいった。

この釣具店リニューアル中のため、店の準備に大忙しだった。
しかも新装開店は明日。間に合うのか??というくらい忙しかった。

しかし仕事場は釣具の山。およそ富山の釣具店の比ではないような膨大な釣具の山だ。見るものすべてが釣具なのだ。
釣り好きにとってこれほどしあわせなものはない。


ようやく仕事を終えたころにはもはや夜の12時だった。

明日はルアーコーナーを任されるらしい。しかもオープン初日だからとんでもなく忙しいらしい。
接客初日がオープン初日というなんという運命のいたずら。

あぁ、楽しみやら恐ろしいやら。








4月12日


釣具屋のバイトの面接に行った。

面接は2人のようで、もう一人女の子が来た。
書類にいろいろ書いて、一応動機は釣りが好きだからと書いておいた。
横をちょろっと見てみると、その女の子も釣りが好きだからと書いていた。
大阪に来て思ったが、こちらでは女の子の釣り人口が富山とは比較にならないくらい多い。その子もただ釣りをしたことある、程度のレベルではなくそうとう経験あるようだ。

普通に面接を終え、結果のでる3時を待った。



そして結果。採用。

これでようやく念願の釣具屋で働く事ができる。土地こそ大阪だが、生きた情報を得るには最高の場だ。



がんばってはたらくぞ〜。










4月10日


中古タックルを物色。

ここいらの釣り場は港や足場のよい河口がメインなのでそんなに長いロッドでなくてもよいだろう。8ft前後で安売りされてるものを中心に探す。

そのなかでリストアップされたのが

ウエダのソルティープラッガー、ダイコーのプレミアブロス、スミスのブローショットだ。

ソルティープラッガーは破格の1万5千で売っていた。中古だけど。あと二つは8千円くらい。お金の無い私にはこれくらいの値段じゃなきゃ買えない。

リールはちょっと前のモデルのツインパワーが9千円。


どれも中古とはいえほとんどダメージもなく持ち合わせがあればすぐ買うところだが、これから学校のテキスト買わなきゃならんので今は買えなかった…holdしてもらったので後日給料もらったらこよう。










4月9日


昼からうちの大学にバスケ部の試合を見に行った。
今日の相手がはるばる石川から来た金沢工業大だったからである。
知り合いもいたりしてちょっと気なったので釣具見に行く時間を割いて足を運んだ。

金沢工業大も強いが、何気にうちの大学も強い。一応関西1部だ。格下とみたのかみんな余裕ぶっこいてねむそーな顔をしていた…。
試合が始まってもみんなねむそーだった。主力が3人も風邪やら怪我という口実で試合に出ていないところからして意気込みを感じられない…。

しかしそんな状態でもやっぱり彼らはちゃんとちょうじりを合わせしっかり勝利はもぎ取るのだった。


試合後みんなと話をして釣具屋に向かおうとしたが、部員に呼び止められ先輩に現状聞かれ新しい後輩紹介させられ結局そんな時間はなくなった。

部活に顔を出さなくなってしばらくたつが、なんだか私の存在はしっかり残ってるみたいだ。部活での私のニックネームはなぜか「ファンタジスタ」省略して「ファンタ」なんだが、新入生に私とそっくりなやつがいて、そいつが「ファンタ2世」になったらしい。



なんだか微妙な心境だ。











4月8日


夕方から釣具のブンブンへ行った。

関西ではメジャーな釣具店で、チェーン店が各地にある。
家からチャリで15分くらいのところにあるのでよく行くのだ。

やっとこさついたと思ったらなんだかあやしげなムード。
そこは工事現場と化していた。
一体何事!?と驚いたが、どうやらリニューアルオープンするようだ。
この前までなかったアルバイト募集の垂れ幕もある。

アルバイト…。
いまは派遣のバイトで毎回全く違う現場へ働きに行っているのだが、
かつてから釣具店でバイトできたらどれだけしあわせだろうかと思い続けてきた。
だからこのブンブンが求人ださないかとずっと気にかけていたのだ。

店員には割り引きもある。
採用されたならみなさん、割引で買ってきてやるぜ。




4月7日


明日から学校のため準備がいそがしい。

教科書購入やめんどっちい作業がいっぱいだ。あ〜ぁ、なまけものはいかんね。


今、無性に釣りがしたい。
大阪に来て3年目になるがこっちで釣りをする事など考えたことなかったのに。


私はぼーっとするのが好きなので真夜中目的も無しに何度かバイクで海を見に行ったことがある。阪神高速の真下を通る中央大通りを延々と突っ走り、突き当たった場所の海だ。目印になるものといえば海遊館。

その海を私は眺めてみた。
どんな海も釣り場に見えて仕方のない私なのに、その海は私にとって釣り場には見えなかった。周りの風景のせいもあるのか、工場の用水にしか見えないのだ。

そんなとこの魚食う気にはなれない…
そしてハナから食えぬとわかっている魚は釣りたくない。

しかし、私は今猛烈に釣りがしたい…


…もうこうなったら食える水域まで行くしかない!


ということでよくよく調べてみると、私の住んでいる場所から電車賃500円、時間にしてたったの1時間で割と水質のよい釣り場にはつくらしい。なーんだ。



これであとは時がくるのを待つだけだ…フフフ…




大阪湾のシーバス待ってろよ。











4月6日


バイトもない。学校もない。なんの用事もなかった。

家でずーっとパソコンの前に座り、コーヒーを飲み、時代劇を見、アニメを見て一日が終わった。どおりで更新が多いわけである。

出歩かないので食べ物も食べる事はなかった。おなかがすいたらコーヒーを飲む、を繰り返しなんとかごまかしていたのだ。

しかし夜になってさすがに耐えれなくなり、冷蔵庫の中を見てみた。
そこにはなぜかワンタンの皮とうめぼし。
なにかアイデアはないものか…

考えた末、ワンタンの皮で梅肉を包み、揚げてみることにした。

           
                梅肉包み揚げ…かつお風味

なんだかりっぱな食べ物になった。
そのままではさみしいのでかつおだしを少し振ってみた。



まぁ、おいしいんだが、あえて材料を買って作るほどのものではないな…。








4月5日


ようやく旅行の話を書き終えた。

気付けばもう4月。新しい季節の幕開けだ。


私はアホなため去年単位をことごとく落としまくり窮地に立たされている。瀕死だ。
夢の中で五年生の春を迎える夢を見てうなされてしまうくらいに。
だから今年はなんとしてでも全取りしなければ後が無い。本当に後がない。
もし落ちた日にゃ…稼がねば…。
一体いくらかかるんだ…。


大阪はとても暖かくなり、桜も満開が近くなりました。
私もサクラのように咲き乱れる事ができるでしょうか。

見ものです。

















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